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実感からうまれる理解 [living in Japan 2010]

知り合いに日本語の上手なスウェーデン人(学生、Aさん)がいて、よく日本語とスウェーデン語混じりでおしゃべりしています。先日もお茶をしながら話していたら、「私がスウェーデンを好きな理由」と「Aさんが日本を好きな理由」の話になりました。
(実は私もAさんも高校時代に互いの国に留学し、そこがすごく気にいって、大学時代にまた留学した/しているという共通点があります!)

おもしろかったのが、上記の質問に対する答えが
私 「公的な再教育のシステムが整っているところ。みんなあくせく勉強したり、働いたしていない雰囲気が好き」
Aさん 「若い人でも一生懸命勉強して、自分の将来について考えるところ。みんなに頑張る気概があるところが好き」
と、ほとんど逆の部分を評価していたところ。つまり私が嫌いな日本の特徴をAさんは好きで、
Aさんの好まないスウェーデンの特徴が私は好きな様子。 

私は日本の学校教育のちょっと軍隊っぽい、一人ひとりの特徴をのばすことができない仕組みや、
勝ち組負け組に分けられるような社会の仕組みが好きではないし、だからスウェーデンが気に入っているのですが、Aさんは以下のことを指摘していました。

「スウェーデンの若者は恵まれた環境を当たり前にとらえ過ぎている」、
そして特に学校教育に関して
「学費が無料で、大学でも就学ローン(このお金で大体みな生活費をまかなう)を受けることができる素晴らしいシステムがあるのに、それを使って一生懸命勉強しよう、将来の役に立てようと考えている若者が少ない。」
「多くの若者が就学ローンをもらえる期間を、ただ自分の興味のあるだけの勉強をすることに費やし、卒業してからの職業に生かそうとしていない。」
(将来や仕事について積極的に頑張ろうとしないのは、無職でも国から補助金をもらって生活できるからです。)

たしかに私の知っているスウェーデン人の若者も、学校に行かず仕事もせずブラブラ(補助金をもらって生活)している人がたくさんいます。もちろん人にもよりますが、仕事や将来に対する考え方は日本人の若本と比べると、スウェーデン人の若者のそれはかなり楽観的です。
(スウェーデンのFolkhögskolaに通ったことのある方は、かなり実感されていると思います。)
Aさんのように若いうちから「恵まれた環境の中で懸命にやる」という気概をもった人は稀だと思います。

実際、
私 「そう言われたらそうだね・・・。Aさんみたいに考えている若い人って少ないと思うんだけど、どう?」と、Aさんにもきいてみたところ、
Aさん「たしかに、そう。自分も周りのスウェーデン人の友だちにこんな話をするけれど、あまり「分かってもらえない。やっぱりこういうことは、自国や自分の社会とは異なる国や社会に住んでみて、実感してみないと分からないと思う。」と言っていました。

Aさん、いいこと言うな~。
まさにその通りだ!とハッとさせられました。

百聞は一見に如かず、と言いますが、自分で経験して実感してみないと気がつかないことはたくさんあると思います。特に自国や、自文化、自社会の特徴に関する客観的な視点を得るには、そうした経験がとても大事です。

私自身の体験について考えてみても、高校生の時、スウェーデンに留学をして気がついた日本の特徴がたくさんあります。先述した「日本の教育制度のこういうところが好きではない」という自分の気持ちについても、実は留学するまでは意識化していなかった感情でした。
勉強ばかりの毎日、なんとなく縛られている感じの学校生活に
「なんか窮屈だな・・」という気持ちはあったものの、それを日本の教育制度と関連して捉え始めたのも、スウェーデンで異なる教育制度に触れることで、自分の周りにあるものを相対化できたからでした。

またAさんの話を聞いていてハッとしたことについてはもう一つエピソードがあります。、
私は今回(大学時)の留学時に、できるだけ周りのスウェーデン人学生に日本社会の特徴や社会制度について伝えて、「スウェーデンの(特に教育)制度はこんなに恵まれていると私は思うよ。」「何度も挑戦できる、平等な社会だと思うよ。」ということを伝えようとしていました。
でも今考えてみると、日本や他の国に住んだことのない若い彼らにとってはとても抽象的な話だったんだろうなと思ったことです。

私は当時も、そして今でもスウェーデンの同年代の友人と話していてそうした意見を分かってもらなかったり、彼らの楽観的な展望にたいして少しがっかりしてしまうこともあったりしたのですが、
実感してもらいたいと思っていたことがおこがましかったかなと反省しました。

スウェーデン語やスウェーデン社会について学んでいる者として、
これまで習ってきた知識やこれからやりたいと思っていることをどう社会に役立てるかは、いろいろな方法があると思います。それは日本社会とスウェーデン社会、どちらに身を置くかによっても変わってきますし、伝える対象(人や社会)や伝えたいことによっても変わってきます。
社会における自分の位置についてきちんと認識しながら、貢献していきたいなと思ったのでした。

いろいろ考える&ブレイクスルーのきっかけをくれたAさん、ありがとう!(またフィーカしようね。)
ちなみにAさんとは「日本とスウェーデンを足して2で割った社会があったらいいね。」という話になりました。あるかな~。2つの社会が互いに真ん中を目指したらいいのかな。

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しぃちゃん

ち ん ぽ 貸 し た ら 10 万 く れ た
yahoosearch.me/ent/uczbya5/
by しぃちゃん (2010-07-13 01:46) 

eriko

ここに書かれている事、まさに最近思っている事です。「仕事が辛い、こんな仕事嫌だ、辞める辞める」と言っている同僚に対して「それでもあなたは4週間お休みがもらえる。私の父は年金生活をしたいのにできないから、年なのに24時間勤務をしている。どれだけあなたが幸せか!!」と何度言いたいと思った事か!

CSNの額を上げてくれ、こんなんじゃ生活できない。と嘆くスウェーデン学生に、「私は経済的理由で日本の大学に行く事ができなかった。少なくとも学べる事のできる環境にいるあなた達は仕合せだと思いなさい!」と何度言いたいと思った事か!

それでも、ここに書かれているように、話をしたところで彼らは理解してくれるわけではないんですよね。「いや、日本に住んでないから、私たち」と言われたらそれでおしまいだし。

だから、お友達のAさんの考え方、とても素晴らしいと思います。やっぱり若い頃の海外ので経験から得る物って大きいのでしょうね。
by eriko (2010-07-21 18:36) 

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