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デモクラシーの進めかた [studying in Sweden 09 09]

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木曜日の1、2限は英語の授業ですが、今日は特別で2限目に「デモクラシー ワークショップ(demokrativerkstad)」というものが開かれ、学生みんながホールに集められました。講師は校長先生。

何も知らされないまま集められた学生たちには、まず8つの質問が書かれた用紙が配られ、クラスメイトでグループをつくり話しあうように言われました。

8つの質問の題名は、「Fornby(学校の名前)のデモクラシーについて」で、質問の内容は以下の通り。

①授業中、発言できていない生徒がいないか?
②すべての学生の意見は公平に尊重されているか?
③クラスで意見を通すのはいつも同じ学生/学生たちか?
④質問をするために必要な情報は、すべての学生に平等に与えられているか?
⑤質問をするべき相手が誰か、全員が明確に分かっているか?
 (自分の意見を述べたいとき、それを行うための窓口/人物が明確に示されているか)
⑥質問や提案をする機会が平等に与えられているか?
⑦自分たち以外の機関、人物が、自分たちに関する決定を下していないか?
⑧もっとも知識をもっている人が、自分たちに関する決定を下すべきか?

各グループでそれぞれ4段階の評価(とてもあてはまる、あてはまる、少しあてはまる、まったく違う)をしたあと、
全体グループの意見を目の前でパワーポイントで集計。自分たちのクラスや学校がどんな状況にあるかをみんなで確認したあとは、校長先生の「デモクラシー」に関する講義。

講義では、「デモクラシーの理念は“決定に影響を受けるすべての人が、その決定にも影響を与えることができること”で、自分の意見が通らなかった者(loser)も、その決定をsupportしなくてはいけない」という話から始まり、民主的な組織運営には、以下の5つのことが重要だという話が例を用いてわかりやすく説明されていました。

・すべての人が決定に影響を与えられること
・決定が行われる際には、すべての人が同等の決定権をもつこと
・決定を行うための情報が与えられること
・すべての人が自分の意見を言うことができること
・すべての人にオープンであること
 (除け者がいないこと。)

先述8つの質問はこの概念に関連しており、いま自分たちが通っている学校/クラスをより民主的に運営するためにはどういう意識が必要かが示唆されています。


なぜこのようなワークショップが開かれたかと言うと、来週火曜日に「学生委員会(kursråd)」という、各クラスの代表がクラスから出た学校のシステムに対する要望について話し合い、決定する場がもたれるためです。つまり今日の講義では学生一人ひとりが学校の運営に影響をあたえる状態にあることが強調され、そのために学生自身も積極的に関わろう、それがデモクラシーだよ、という説明だったのです。講義のあとクラスごとに分かれて学生委員会に提出したい要望を紙に書き、壁に張り出してワークショップは終了しました。

デモクラシーに関してはこのブログでも何度か紹介してきましたが、学校で学生たちにその意識を教える手段はすごく分かりやすくていつも感嘆します。まだ調査をしたわけではありませんが、学生がこうして学校教育でデモクラシーの理念を学ぶことは、その後の社会参加の意識にもつながっていくのではないかなと思います。

ワークショップを受けていて思いだしたのは、一昨年、私の通っている大学が近隣の大学に統合されることになったときのことです。学生にさまざまな不利益がでる(キャンパス間を移動しなければいけない、など)という噂が流れ、学生の意見を大学に届けるため学生委員会を発足する動きがありましたが、結局うまく機能しませんでした。当時の状況を思い出すと、要因はいろいろあると思いますが、学生一人ひとりのデモクラシーに対する意識、「自分が大学の運営にかかわる一員なんだ」という気持ちや「自分が決定に影響できる」という意識が極端に足りなかったような気がします。

学校や社会などあらゆる“組織”は決定をそのトップに立つ人が下すものではなく、一人ひとりがその決定に影響を及ぼせる“制度”と、その構成員の“関心”、“意識”が必要ではないかと思います。スウェーデンの学校ではその“意識”を学校教育を通して学生に示唆しているようです。

※写真:新入生歓迎会の時の写真。バケツにいろいろなものを投げいれてポイントをかせぐゲームをしているところ。今日は家にカメラを忘れてしまいました(涙)夜のうちにカバンにいれておきます!


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